走るのが速い学生にとって
運動会は年に1度の桧舞台。
普段は勉強がからっきしな男子でも
わずか十数秒間のダッシュで女子株が急上昇したりするわけです。
高校時代、1つ下の後輩にスピードキングがいました。
サッカー部で鍛えた彼の脚力は校内トップクラス。
しかし天は二物を与えない。
彼は校内・抱かれたくない男ランキングで V2の偉業を成し遂げ、
次の年に夢の3連覇と同時にブサイク殿堂入りに王手をかけるほどの
ナイスフェイスの持ち主でした。
彼が出場する運動会の大トリ、紅白対抗リレー。
それまで応援席のひな壇の下に隠れて
応援合戦中でもオセロを楽しんでいた僕とカズヤくんも
日陰に別れを告げて、彼の勇姿を見届けました。
当然、女子たちも彼が走る姿に目をやる。
彼が汚名を返上する絶好の機会。
応援席の前を風のように彼が走り去った後、
僕たちの近くにいた女子グループが重い口を開いた。
女子A 「速いね」
女子B 「一気にトップになったね」
女子C 「あの子、サッカー部らしいよ」
女子A 「それで あんなに速いんや」
女子B 「さすがやね」
女子C 「それにしても走ってるときの顔・・・」
女子A 「めっちゃブサイクやったね」
女子B 「いつもの2倍(当社比)気持ち悪かったね」
女子C 「追いかけられたら あの顔で追いかけられるんや」
女子A 「しかも速いから絶対つかまえられるよ」
女子B 「こわ~」
女子C 「くわばら くわばら~」
男の本質を見極めることができない女子どもよ。
僕とカズヤくんは握り締めてたオセロの駒を
マシンガンのように彼女たちに投げつけて
こらしめてやりました。
JUNIOR
好きな飲み物は水とカレー。
人と話すと元気が出ます。
得意な球技は内野ノックです。