うちのアパートの1階にあるエントランスのドアは
一見オートロックと思われがちですが
ただ単に建てつけが悪いだけで
コツをつかんだ住み慣れた住人でないと
開けることができないだけです。
ドアの隣に番号ボタンはありますが
シャレを効かした管理人さんが面白がって取り付けた
カモフラージュなんです。
昨夜も これを真に受けた外からの来訪者が
エントランスでこちょこちょやってました。
「インターネットはおつなぎですか?」とか
「1ヶ月だけでいいから新聞とってください」とか
「なんだかムラムラしませんか?」といった類(たぐい)が多い。
これを僕がすり抜けるようにエレベーターに向かうと
来訪者は僕に声を掛けてきました。
何かを差し出しながら
「こういう者ですが、通してもらっていいですか?
インターホンを押しても応答しないんです」と。
差し出した手にはポリス手帳。
初めて見ました。
制服じゃなかったから察しもつきませんでした。
この地域の平和を預かる者として
とりあえず僕も「こういう者です」と、
CMを参考に見よう見まねで作った
こども店長のネームカードを見せて自己紹介しました。
なんて返しができるわけもなく
共にエレベーターに向かいました。
ドラマに出てきそうなベテラン刑事と新米刑事のふたりコンビ。
ベテラン側は これまたドラマに居そうな薩摩なまりでのしゃべくり。
同乗したエレベーター内で質問されました。
「ここはワンルームですか?」
僕は迷いました。
このアパートの部屋の間取りのことを指しているのか、
それとも今まさに乗っているエレベーターのことを指してるのか。
乗ってるエレベーターは どう見てもワンルームなので
部屋のことを指してるんだろうと思い
「いいえ。すべてVIPルームです。」
と答えました。うそです。
「はい。そうです。」と一般庶民らしく返答しました。
僕は自分のフロアで降り、
刑事さんたちは さらに上の階へ向かいました。
結局、何ゆえに刑事さんたちが来たかはわからずじまい。
これだけひっぱってオチも何もない、
今日もまた くそつまらん話です。
JUNIOR
好きな飲み物は水とカレー。
人と話すと元気が出ます。
得意な球技は内野ノックです。