8月7日（祝）

じいちゃんは酒が好き。

酔っ払って家に帰ってきた ある晩、

ファミコンでプロレスのゲームをしてた僕に対戦を挑んできた。

僕が得意気にコブラツイストをキメたら

じいちゃんは実写版で僕にチョップをお見舞いしてきた。

ばあちゃんは最近ぼけ始めて、

僕のことが誰かよくわからんようになってきた。

でも何をしても笑顔で「ありがとう」って答える。

今年の正月、家族みんなで寿司を食べてたとき、

目玉メニューの焼きアナゴを

ばあちゃんが１人で４貫も食べたから

「全部食べるやなーわ」ってツッコまれたけど、

いつもの笑顔で「ありがとう」って言い返してきたから

家族みんなが笑顔になった。

僕が中学生のとき、何かの調べ学習で

おとんに「仕事をしてて、やりがいを感じるときは？」って質問したら

「お前らの成長を見てるときや」って答えが返ってきた。

そんな言葉を聞くのは けっこう恥ずかしかったし、

質問の答えからちょっと外れてたけど、

いま思うと これまでのおとん語録の中で いちばん かっこええ言葉やと思う。

おかんの涙を見たことが１回だけある。

僕が小学生のとき、興味本意で「人間は断食で何日生き延びれるか」を

身をもって調査しようと 朝昼晩の食事を抜いたら、

僕が病気なんじゃないか、何かに悩んでるんじゃないかって

本気で心配してくれたとき、僕はおかんの涙を初めて見た。

いつもあほなことばかり言うおかんが

僕に涙を見せたのは この１回だけ。

お笑い養成所で脚本の勉強をしてた兄貴は

「ここ（名古屋）では おれの才能は発揮できん」と言い残し

大阪の街へ飛び出した。

その大阪で出会った音楽と、今は名古屋で暮らしている。

やはり音楽だけで生計を立てるのは困難なので、

昼は花屋さんとしてファンシーな、

夜はクラブＤＪとしてファンキーな生活を送っている。

弟のピザを僕が黙って盗み食いした１４年前から

弟とは まともに口を利いていない。

弟の情報は いつもおかんを通して入手する。

高校時代に付き合ってた彼女は家が火葬場の近くだとか、

今付き合ってる彼女は簿記２級だとか、

こと恋愛事情については、事細かに報告してくる。

そんな由緒正しき家族のもとで、僕は次男として生まれてきました。

「お母さんの お腹の中でじゃんけんして、

　僕は２番目に勝ったから次男なんやよ」

って、幼いころ僕はコメントしたらしい。

じゃんけんで弟に勝利してから

２８年の月日が過ぎようとしています。

　　　ＪＵＮＩＯＲ